コラム

APP同士を『URLスキーム』でランチャーアプリ風な管理術

APP同士を『URLスキーム』でランチャーアプリ風な管理術

記事のポイント

  • URLスキーム利用で普通のアプリをランチャー化!
  • Evernoteを起点としてアプリ展開が可能!
  • アプリ同士の相関性が分かりやすくなる!

URLスキームは“魔法”です。

仕事でメモアプリ、タスク管理アプリ、マインドマップ…とさまざまなアプリケーションを使っている私。そうなると厄介なのが、使うアプリを増やせば増やすほど、管理が煩雑になるという問題。意外と由々しきこの問題、『URLスキーム』を使って解決してみました。

二条ねこ

「このプロジェクトに何のアプリを使っていたか分からない」…そんな人ほど読んでほしいっ!

まの

アプリとファイルの管理術は永遠のテーマですものね。

砂瀧えり

不用意に使うアプリを増やすと沼やもんね…。

はじめに

マニアックな記事なので、いきなり本題に入る前に、

  • 本記事を読んでほしい人
  • 本記事の目的

を先に話しておきます。

本記事を読んでほしい人

読んでほしい人

  • 仕事でアプリを複数使っている人。
  • アプリ同士の連携を重視している人。
  • メモアプリを起点としている人。
  • iPhone・iPad・Macを利用の人。

仕事で一度にタスク(案件)をこなさないといけない状況になると、どうしても、

  • この案件に何のアプリを使っていたか分からない
  • どこに何のファイルがあったか分からない

というような状況になる人もいるはず。

すべてを記憶できるスーパーマンなら大丈夫ですが、そうでない人も少なからずいるでしょう。そんなアプリ管理のベストプラクティスを探している人にこそ読んでほしい記事だったりします。

本記事の目的

本記事の目的は、アプリ同士の連携を『URLスキーム』という手法を用いて行い、1つのアプリを起点(ランチャーアプリ化)にして他のアプリを管理してみる、ということです。

本来ならば、1つのアプリでタスク管理・メモ・アイデア出し・デザイン…とできればよいのですが、そんなアプリは現実にはありません。
なので、どうしても複数のアプリを使わざるを得ない状況になるというわけです。そこでURLスキームを用いて、あたかも1つのアプリで作業をしているかのようなシームレス感を振る舞わせるというわけです。とどのつまり、普通のアプリをランチャーアプリ化してしまおうというわけ。

まの

言っていることがピンと来ないですわね…。

二条ねこ

そうですなー。
ってことで、実際に例を用いて話してみることにするぞー!

アプリの相互的管理例

URLスキームを用いて、アプリ同士を連携させて管理する…と言われても、イマイチイメージができないかもしれません。なので、実際にダメな例とマルな例を出しながら解説していきます。

二条ねこ

ダメな例 → マルな例 って順番で話していくよー!

ダメな例

ダメな例の利用アプリ一覧。ダメな例の利用アプリ一覧。

利用アプリ

  • メモ:Evernote
  • タスク管理:Trello
  • カレンダー:カレンダー(Apple)
  • マインドマップ:MindNode
  • デザイン:Illustrator

Webデザイナーをイメージして、利用アプリを抽出してみました。EvernoteやTrelloは、どんな職種でも使っている人は多いはず。

一部はiCalで同期しているが、個々のアプリが独立している。一部はiCalで同期しているが、個々のアプリが独立している。

これら利用アプリ同士の連携を相関図にしてみると上画像のとおり。

そうです。使っているアプリが個々に独立している感じです。
ちゃんと意識して使い分けられたり、何のアプリをどう使っているかを記憶できる人ならなんら問題ないのですが、アプリ同士が独立していると管理しづらいのは事実。実際、アプリ同士が独立していると、「あ、あのデータどこだっけ?」となってしまう可能性が高くなります。

二条ねこ

実は、TrelloのiCal同期も遅いから微妙だったり…。

とはいえ、デベロッパーが違う企業のアプリ同士を連携させるのは至難の業。というか、現実的にほぼ不可能です。
ですので、どうにかしたいと思っていても、先程の画像のようにアプリがバラバラになってしまうものです。もちろん、例えば、Adobe系のアプリで統一させるとか…をすれば、ある程度のアプリの連携は取れますが、使い勝手をスポイルすることにもなりかねません。

二条ねこ

自分の好きなアプリ同士のリレーションをどう組むか、これが難しいんだよねー。

マルな例

マルな例の利用アプリ一覧。マルな例の利用アプリ一覧。

利用アプリ

  • メモ:Evernote
  • タスク管理:Agenda.
  • カレンダー:カレンダー(Apple)
  • マインドマップ:MindNode
  • デザイン:Illustrator

先程と同じく、デザイナーをイメージして利用アプリを抽出しました。
タスク管理のアプリを『Trello』から『Agenda.』に変えたのは、ちゃんとした意味があります。これは読んでいけば分かるはず。

Evernoteの機能とURLスキームを使えば、アプリの相関性が取れる!Evernoteの機能とURLスキームを使えば、アプリの相関性が取れる!

先程のアプリを『URLスキーム』を用いると、上画像のような相関図になります。方法は後で説明するので、とりあえずは“こうなる”と思っていてください。

要するに、EvernoteやAgenda.を起点(ランチャーアプリ化)として、他のアプリを『URLスキーム』を用いて、アプリや任意のページをディープリンクで呼び出しているということです。

Evernoteからダイレクトにアプリを呼び出せる。Evernoteからダイレクトにアプリを呼び出せる。

このURLスキームを使ったアプリ呼び出しの何が便利かというと、

  • 普通のアプリをアプリランチャー化できる
  • プロジェクトに使われているアプリが目視で確認できる

という2つの大きなメリットがあります。

そう、これらのメリットこそ冒頭で話した、プロジェクトに使っているアプリが分からない問題を解決できる“ベストプラクティス”ではないかと思っているわけなのです。

Evernoteにプロジェクトに必要な事項をまとめておき、それに関連するアプリをURLスキームでディープリンクを貼っておくと、Evernote起点でダイレクトにアプリを呼び出せる。つまり、Evernoteのランチャーアプリ化です。
しかも、対応アプリなら、アプリの入り口ではなく、アプリ内の特定データをURLスキームでゴッソリ呼び出せるのです。なので、直でプロジェクトのファイルを突くことができるというわけ。これが実に気持ちが良いのです。

ちなみに、URLスキームとは関係ないのですが、Evernoteなら、Illustratorのファイルをノートに貼付できます。しかも、貼付したIllustratorを直接編集できちゃう。一旦、デスクトップ等にダウンロードする手間もなく、ファイルの冗長化問題も防げるので便利。ほんと、Evernote様様です。

二条ねこ

余談だけど、AIファイルやPSDファイルが貼付できるメモアプリって、かなり少ないんだよね〜。

まの

メモアプリの大半は、AIファイル等を貼付することを想定していませんからね。

URLスキームを用いたランチャーアプリ化方法

ここまでで、URLスキームを用いたアプリ管理(普通のアプリのランチャーアプリ化)の便利さに気がついてもらえたはず。

ここでついにお待ちかねのHow to。
どうやって、URLスキームを使ってアプリ同士を連携し、起点アプリをランチャーアプリ化し、アプリを管理していくかの方法を解説&紹介していきます。

二条ねこ

刮目刮目刮目してくださり〜♪

砂瀧えり

ノリノリやね…。

  • STEP.1
    起点アプリを決定
    ランチャーアプリ化したい起点アプリを決定。

    まずは、アプリをURLスキームで呼び出す起点となるアプリ(ランチャーアプリ化したいアプリ)を決定します。

    アプリによって、URLスキームを用いた他アプリの呼び出しが、できるものとできないものがあります。なので、各自試してみて、他アプリをURLスキームで呼び出せるものをチョイスしましょう。

    個人的には『Evernote』が起点アプリとしておすすめです。Macユーザーならば、Apple純正の『メモ』とかのほうがいいかも?

  • STEP.2
    利用アプリのURLスキームを取得

    お次は、起点アプリ(Evernote)で呼び出したいアプリのURLスキームを取得します。

    私はMacを使っていますが、WindowsにもURLスキームは存在します。もちろん、iOSにもiPadOSにも存在しています。
    アプリのURLスキーム自体は、調べさえすれば基本的にはどのアプリも呼び出せるはずです。アプリによっては、そのアプリの任意のファイルを呼び出すURLスキームも存在しています。任意のファイルをURLスキームで呼び出せないと、この方法の旨味がないので、よーくアプリを厳選してみてください。

    アプリによっては、URLスキームを抽出しやすいものも。アプリによっては、URLスキームを抽出しやすいものも。

    メモアプリなら『Evernote』や『OneNote』、タスク管理なら『Agenda.』、マインドマップなら『MindNode』がそれぞれ任意のファイルのURLスキームを抽出できることを確認しています。
    同じくタスク管理なら『Trello』も任意のURLスキームを抽出できるのですが、その抽出方法が大変なので、今回はAgenda.にしています。だから、TrelloからAgenda.に変更しているというわけなのです。ですなの。

  • STEP.3
    URLスキームを起点アプリに貼付

    これでアプリからアプリへの呼び出し準備(ランチャーアプリ化の準備)が整ったので、起点にしたアプリに取得したURLスキームを貼付(コピペ)します。

    EvernoteのURLスキームを貼付したイメージ。EvernoteのURLスキームを貼付したイメージ。

    私はEvernoteに各アプリのURLスキームを貼付して管理していますが、それぞれ好きなアプリやお作法があると思うので、そこはもちろんご自由に。

    個人的な使い方としては、URLスキームだけでなく、外部サービスのURL(こっちは普通の『http://〜』のほう)を一緒に記述しておくと便利。イメージとしては、Evernoteのあるノートさえ開けば、どんなアプリを使っていて、どんなSNSを使っているかを俯瞰できる感じです。

  • STEP.4
    起点アプリで他アプリを呼出

    あとは、起点にしたアプリで、任意のURLスキームをクリックして、他アプリを呼び出すだけ。うーん…カ・イ・カ・ン!

    そうそう、MacでURLスキームを作って、Evernoteに貼付するとします。これ、Macで作ったからといって、Macでしか呼び出せないわけではなく、iPhoneやiPadからも呼び出せます。ほんと、良きです。

私のURLスキーム相関図

私がよく使うURLスキームによるランチャーアプリ化。私がよく使うURLスキームによるランチャーアプリ化。

実例として、私がよく使っているURLスキームを用いた、起点アプリのランチャーアプリ化を1つ紹介しておきます。

私の場合は、EvernoteとAgenda.の両方をURLスキームの起点アプリ(ランチャーアプリ)としています。
そこから、OneNoteやMindNodeをURLスキームで“任意”のファイルを呼び出しています。そう、任意です。ここが重要なのです。これで、EvernoteのノートやAgenda.のタスクと別アプリとのリレーションが明示的になってくれます。

その脇を固めるものとして、Illustrator(これはDropboxと併用)とApple標準のリマインダーとカレンダーを使っています。

二条ねこ

何かあったら、EvernoteかAgenda.を見れば分かるって感じにしてるあーるよっ!

補足

URLスキームとは?

ちなみに、本記事にずーっと出ている『URLスキーム』という単語。

URLスキームとは、アプリを直接起動できるリンク。URLスキームとは、アプリを直接起動できるリンク。

この『URLスキーム』とは、任意のアプリを別のアプリ等から直接呼び出すことができる、アプリ固有のリンクの一種のことです。
最近では、本来の意味の枠を超えて、『ディープリンク』とも呼ばれています。Windows界隈では、『URLプロトコル』とも呼ばれているそう。まぁ、URLスキームと呼ぶほうが分かりやすいはずです。

ハイパーリンク(普通のリンク)とディープリンク(URLスキーム)をURLで比べてみると、

  • ハイパーリンク:http://〜
  • ディープリンク:Evernote://〜

という感じの違いがあります。

上記の例はEvernoteなので、ディープリンクが『Evernote』となっていますが、ここに各アプリの名前が入ったりします。

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URLスキームの調べ方

/System/Library/Frameworks/CoreServices.framework/Frameworks/LaunchServices.framework/Support/lsregister -dump | egrep "bindings.+:" | sort

URLスキームを調べるのに一番早い方法は、『SpeedBookmarks』というランチャーアプリの作者Attila Szabo氏のWebサイトに記載されている上記のソースコードをMacの『ターミナル』で叩くのがベストかも。
ターミナルが苦手なら、アプリ『SpeedBookmarks』をインストールして調べるのでも良さそう。

なお、Evernote・Agenda.・MindNodeなどのアプリは、わざわざ調べなくてもURLスキームを抽出てきます。OneNoteは…ちょっとクセがあるので面倒です。

二条ねこ

URLスキームの出しやすいアプリを選ぶのがおすすめですな〜。

まとめ「URLスキームは魔法だ!Evernoteがランチャーアプリ化も!!」

まとめ「URLスキームは魔法だ!Evernoteがランチャーアプリ化も!!」

総括すると、EvernoteやOneNoteのようなメモアプリと他アプリとを、URLスキームという方法を用いてリレーションを組んで管理しよう、ということです。

URLスキームというものを知っておくだけで、いろんなアプリが“ランチャーアプリ化”できるので、自分好みの環境を作ってみても面白いはず。あなたも…ドデスカ?

二条ねこ

URLスキームとランチャーアプリこそ、アプリ管理のベストプラクティスだぁああ!

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この記事で紹介したガジェット

おまけ

二条ねこ

なかなかにどやーるなアイデアでしょー?

まの

ほんと、マニアックなことを考えますわね…。

砂瀧えり

URLスキームとか考えたこともなかったなぁ。

二条ねこ

かなーり便利だから、もっと活用してくださり〜♪

おわり