- USB4は最大40Gbpsの転送速度!
- PCIe・DisplayPortもUSBに内包!
- Thunderbolt 3になったUSBがUSB4だ!
USB-C + Thunderbolt 3 = USB4
ついに『USB4』の仕様が明らかに!40Gbpsという超高速な転送速度。さらにPCIeもDisplayPortも内包しているとかとか。そんなUSB4について製品が出回る前にお勉強してみました。
Thunderbolt 3を取り込んだUSBが、この『USB4』って感じが分かりやすい気がするっ!
つまり、映像出力も外付けグラボもUSBで可能ってこと?凄い!
Alt Mode……。
Contents
『USB4』とは?
USB4の概要
- 最大40Gbpsの転送速度。
- USB PDによる電源供給対応。
- DisplayPortによる映像出力対応。
- PCI Expressによるデータ伝送対応。
- USB 3.2・USB 2.0・Thunderbolt 3と下位互換性有。
- 2019年9月にUSB-IFが仕様公開。
- 2020年終盤に対応デバイスが登場予定。
『USB4』とは何かを簡単にまとめて説明すると上記のとおり。
○:USB4
×:USB 4
とスペースなしで(詰めて)記載するのが正しい名称です。
従来の『USB 3.0』とかみたいに、スペースがなくなったのがUSB4ってことですな〜。
概要は前掲のとおりなのですが、もっと簡単にUSB4とは?をまとめると、
- USB 3.2
- USB 2.0
- Thunderbolt 3
を1つにまとめた通信プロトコルということになります。
とどのつまり、従来は『Alt Mode』として動作していたThunderbolt 3を、USBにネイティブ対応させた(Alt Modeもサポートしている)というわけです。なので、Thunderbolt 3が持っていた仕様は、基本的にはUSB4でも利用可能とのこと。
つまり、Thunderbolt 3の仕様をまるっとUSBが内包したのが、今回の『USB4』ってことになるねっ!
Thunderbolt 3とUSBが統合されたのが、USB4というわけですね。
USB4のスペック
端子形状 | USB Type-C |
最大転送速度 | 20Gbps(Gen3×1) 40Gbps(Gen3×2) |
最大電源供給 | 100W(5V・20A) |
通信プロトコル | USB PCI Express DisplayPort |
通信方式 | 全二重通信 |
符号化 | 128b/132b |
USB4の主な仕様。
USB4の主な仕様は上表のとおり。
USB-IFのドキュメントを見ると、シングルレーンとデュアルレーンが存在し、それぞれ20Gbps(Gen3×1)と40Gbps(Gen3×2)の最大転送速度になる模様。
20Gbpsの場合、USB 3.2(USB 3.2 Gen2×2)と同等の速度とスペック上はなります。ただこれは、USB 3.2 Gen2×2の場合はデュアルレーンで動作した場合の話。USB4 Gen3×1はシングルレーン動作なので、そういう意味では同速度でもスペックアップしたと解釈するべきでしょう。
また、USB PDについては、最大100Wと従来どおり。
これについては公式ドキュメントの49頁付近に記載があり、USB Type-C・USB PDの仕様に従うこと。そして、USB 2.0・USB 3.2とは異なり、独自のVbusをUSB4では定義しない。との記載がありました。
やっぱり、USB PD(電源供給)とは独立している感じですなー。
PCI ExpressとDisplayPortについては、Thunderbolt 3(Alt Mode)を内包した形。
公式ドキュメント47頁によると、DisplayPortについてはホスト(USB4 Host)とハブ(USB4 Hub)については必須。デバイス(USB4 Device)についてはオプション扱いになるそう。
VASAによると、最大16K(15,360×8,460@60fps/30bpp)に対応するDisplayPort 2.0が、USB4に2020年以降に実装されていく模様。
つまり、USB4が普及すると、DisplayPortでの映像出力が可能なパソコンが増えるって感じだね〜♪
名称 | 最大転送速度 | 仕様公開年 |
USB 1.0 | 12Mbps | 1996年 |
USB 1.1 | 12Mbps | 1998年 |
USB 2.0 | 480Mbps | 2000年 |
USB 3.0 USB 3.2 Gen1 |
5Gbps | 2008年 |
USB 3.1 USB 3.2 Gen2 |
10Gbps | 2013年 |
USB 3.2 USB 3.2 Gen2×2 |
20Gbps | 2017年 |
USB4 | 40Gbps | 2019年 |
各USBリビジョンごとの最大転送速度。
USB4ではレーン数の際により、20Gbpsと40Gbpsの最大転送速度があります。上表はどのリビジョンについても、最大での場合の速度を記載。
USB4ができること
- USBによるデータ転送
- PCIeによるデータ転送
- DisplayPortによる映像入出力
ここまでの説明で分かるように、USB4ではThunderbolt 3を内包したことにより、PCIe機能も新たに追加された形になりました。DisplayPortはDP Alt Modeを内包という感じですね。
そこで、改めてUSB4でできることを振り返ってみるぞっ!
USBによるデータ転送
まずは、当たり前ですがUSBを使ったデータ転送が1つめ。
シングルレーン | デュアルレーン |
20Gbps | 40Gbps |
USB4のレーン数による最大転送速度の差異。
USBについては言わずもがなですよね。
今回のUSB4では、最大転送速度がThunderbolt 3と同等の40Gbpsになりました。ただし、これはデュアルレーン(USB4 Gen3×2)の場合。シングルレーン(USB4 Gen3×1)の場合の最大転送速度は、20Gbpsとなるのでそこだけ注意が必要です。
PCI Expressによるデータ転送
さらに、PCI Expressによるデータ転送が2つめ。
これはThunderbolt 3を内包したことにより追加された機能で、このPCI Expressを一番使うはずなのが、おそらく外付けGPUでしょう。
USB4がPCI Expressを使って、外部GPUに対応したことにより、ノートパソコンでも強力なデスクトップパソコン用のグラフィックボードを搭載することが可能になるというわけです。
なお、後述しますが、USB4 Host(ホスト)でのPCI Expressのサポートはオプションとなっているので、USB4搭載パソコンがかならず外付けGPUと接続できるというわけではありません。
Thunderbolt 3対応外付けGPUボックス
DisplayPortによる映像出力
そして、DisplayPortによる映像出力が3つめ。
USB 3.x時代でもAlt Modeによって、USBをDisplayPortとして利用することができましたが、USB4でも映像出力は可能です。これにより、USB Type-Cポート搭載モニターへ、USB Type-C to USB Type-C ケーブル一本で映像出力ができるようになっています。
USB 3.xとの違いとしては、USB4 Host(ホスト)とUSB4 Hub(ハブ)に関しては、最初からサポートしているということです。なので、USB Type-Cポート搭載パソコンなのに、DP Alt Mode非対応だから映像出力が…という現象は少なくなっていくでしょう。
USB4の問題点と課題
ここからは、USB4の仕様を見た上で、個人的に感じた問題点をメモ的に書いておきます。
【問題点1】USB4の転送速度が2種類あること
まず1つめは、USB4の転送速度がレーン数(×1か×2か)に応じて、20Gbpsと40Gbpsの2つあること。
USB4 Gen3×1 | USB4 Gen3×2 |
20Gbps | 40Gbps |
USB4のレーン数による転送速度の差異。
同リビジョン(規格)内に転送速度が2種類あることで、デバイス・USBケーブルの対応状況の見極めが目視で判断しづらい気がする。
実際にUSB4対応機器が市場に出回るときに、何か製品にマーキングやロゴ付けされるかもしれないが、大半の人がここで躓きそうな気がしなくもない。
【問題点2】粗悪品が出回る可能性アリ
そして2つめは、ThunderboltやLightningのような認証が作られないと、粗悪なUSB4機器が出回る可能性があること。
以前、USB-IFがUSB Type-Cの認証プログラムを発表しました。ただ、これは任意かつ、製品に『Made for iPhone』のようなロゴが付与されるわけではありません。
このような認証プログラムをUSB4に組み込んでもらえると、MFi Programのようにユーザーが安心して機器を購入できる気がします。もちろん、そのぶんコスト高にはなりますが…。
そういう意味ではAppleは、Lightningの囲い込みと安全性の担保の両立を上手に行っている感じだよねー。
USB-IFは営利企業ではなく非営利団体なので、強制力のある認証のような縛りを設けづらいという気もしますわね。
補足
USB4 Host/Hub/Device
USB4 Host | USB4 Hub | USB4 Device | |
USB4 Gen3×2 (40Gbps) |
オプション | サポート | オプション |
PCIe | オプション | サポート | オプション |
DisplayPort | サポート | サポート | オプション |
USB4対応機器と各種対応状況。
USB4にはPCIeもDisplayPortも内包されていますが、機器によってはオプション扱いとなっています。また、40GbpsのUSB4 Gen3×2をサポートするかもHub(ハブ)以外はオプション扱いだそう。
従来のUSB 3.2と異なるのは、Host(パソコン等)でのDisplayPortによる映像出力をデフォルトでサポートしていること。つまり、映像出力が必須要件となっている。USB4がサポートするDisplayPortには、DP Alt ModeとDPプロトコルトンネリング(パススルー)に2種類があります。
DisplayPort 2.0
コンフィグ | 解像度 | フレームレート | 色深度 |
2レーン | 8K(7,680×4,320) | 30fps | 30bpp |
4レーン | 10K(10,240×4,320) | 60fps | 24bpp |
2レーン(DSC) | 10K(10,240×4,320) | 72fps | 30bpp |
4レーン(DSC) | 16K(15,360×8,640) | 60fps | 30bpp |
DisplayPort 2.0に仕様。
USB4に対応してくるであろう、『DisplayPort 2.0』のスペックは上表のとおり。
映像圧縮を行うDisplay Stream Compressionを利用することにより、最大16K@60fpsの伝送を実現。Thunderbolt 3がサポートしているDisplayPort 1.2が、最大5K@30fpsということを考えると、とてつもなく高解像度な映像データを伝送できることになる。
16K…恐ろしい時代ですわね……。
まとめ「USB4時代でカオスを解消される…かも!?」
USB4とは何かを総括すると、
- 最大40Gbpsの転送速度
- USB 3.2・USB 2.0・Thunderbolt 3互換
- PCIe・DisplayPort対応
- USB PDは従来の仕様に沿う
- PCIeとDisplayPortはオプションの場合アリ
という感じです。
ドキュメント自体が長く、マニアックな部分(カスケード接続やレーンとサイドバンド)はスルーになってしまいました。とはいえ、この辺を知ってもユーザーは特に何かできるわけじゃないので…ね。
USB4がハイエンド、USB 2.0がローエンドという形で共存していくのかもだね〜。
おまけ
あとは…粗悪品が出ないことを祈るのみっ!
ほんまね…。
仕様に沿ったUSB4デバイス(特にUSBケーブル)しか出回らないことを祈るのみですわね。
おわり
Reference:
USB4 Specification - USB-IF, USB-IF Announces Publication of USB4™ Specification, 次世代USB「USB4」ではDisplayPort出力対応が“必須要件” - PC Watch