- ROMとは読み取り専用メモリーのこと!
- ROMはデータを保管する本棚!
- 実はHDD・SSD・eMMCはROMではない!
HDDはROMだけどROMじゃない?
スマホやPCのスペック表で見かける『ROM』という言葉。ROMの意味を知っているようで知らない…ことも多いので、初心者向けにROMとは何かを解説します。
読むと分かる、ROMの定義と利用の曖昧さっ!
それって…どういうことなん?
意外と適当ってことなんだよー!
Contents
『ROM』とは?
そもそも、『ROM』とは『Read Only Memoryの略称です。コンピューターの5大装置に当てはめると『記憶装置(補助記憶装置)』に位置します。
ROM = リードオンリーメモリー …つまり、日本語に変換すると“読み取り専用のメモリー”ということになります。定義としては、文字どおり“読み取り専用”なのですが、いつの間にか大義でのROMとして使われることが多くなりました。これはまたのちほど…。
「大義でのROM」って?
まぁ、ROMって言葉が便利だったってことなんだよねー。
ROMの役割
このROMの役割を簡単にまとめてしまうと、データを永続的に保存しておける“本棚”や“書庫”のようなものです。
以前解説したRAMは『揮発性メモリ』といい、デバイスの電源オフでデータが消滅してしまうものでした。しかし、このROMは『不揮発性メモリ』といい、デバイスの電源をオフにしてもデータが消えることはありません。
なので、スマホやパソコンのOSデータや、WordやExcelのデータ、ソフトウェア…これらはすべてROMの中に保存されています。要するに、ROMはすーっごい大切な役割を果たしてくれているのです。
ROM(本棚)からRAM(机)に持ってきて作業するイメージですね?
そうそうっ!
それで作業をするのがCPUってことですな〜♪
ROMの種類一覧
私たちが一般的に『ROM』と呼称しているのは、『HDD』・『SSD』・『eMMC』・『CD-ROM』・『DVD-ROM』・『BD-ROM』の6つでしょう。定義の受け取り方によっては変わってきますが、ここでは便宜的に頻出するものをピックアップしています。
読み込み | 書き込み | |
HDD | ○ | ○ |
SSD | ○ | ○ |
eMMC | ○ | ○ |
CD-ROM | ○ | - |
DVD-ROM | ○ | - |
BD-ROM | ○ | - |
ROMと呼ばれる種類一覧表。
そんな6つのROMを、こんな感じの表にまとめてみました。
あ…あれ?
ROMって“読み取り専用”じゃなかったん?
そこがトラップなんですなー。
そうです。ROMの定義からすると、HDDもSSDもeMMCもぜーんぶ矛盾しています。ただ、このツッコミはあとにするので、ここでは「そういうもの」として受け入れてください。(でないと進まないぞ)
とりあえず、ROMの種類をひとつひとつ見ていくぞー!
ストレージ属
HDD
利用されているデバイス
- デスクトップパソコン
- ノートパソコン
ROMの代表格といえば、ご存知『HDD』があります。HDDはHard Disk Driveの略称です。
構造としては、中にはいっている円盤部分(プラッタ)を磁気ヘッドが読み取ってデータを読み書きしていく感じ。イメージとしては、レコードに近いとも言われます。ROMの中でも比較的大容量化が容易な分類ですが、物理的に回転する機構なので、衝撃に弱いというデメリットもあります。
ちなみに、
- Disk:磁気ディスク
- Disc:光学ディスク
なんだよー!
同じ“ディスク”でも、微妙にスペルが異なっているのですね。
SSD
利用されているデバイス
- デスクトップパソコン
- ノートパソコン
- タブレット
こちらもROMの中では有名なのが『SSD』。SSDはSolid State Driveの略称です。
仕組みとしては、NAND型メモリーコントローラーというCPUのような役割を持っている部品が、NAND型フラッシュメモリーという部品にデータを読み書きしていく感じ。要は、チップにデータを読み書きしているということ。
eMMC
利用されているデバイス
- ノートパソコン
- タブレット
- スマートフォン
- 携帯音楽プレーヤー
おそらく、ストレージ系ROMの中でもマイナーなのが、この『eMMC』というもの。このeMMCとはEmbedded Multi Media Cardの略称…ピンと来ないですね。
構造はかなり単純で、NAND型フラッシュメモリーと制御回路から成り立っています。その見た目は1枚のチップそのもの。eMMCは聞き慣れない言葉かもしれませんが、スマートフォンやタブレットで使われているので、現在の私たちにとっては一番利用頻度の高いROMと言えるかもしれません。
光ディスク属
CD-ROM
実はひとくちに『CD』といっても、さまざまな種類があり、
- CD-ROM(読み取り専用CD)
- CD-DA(音楽CD)
- CD-R(書き込み可能CD)
- CD-RW(書き込み消去可能CD)
が存在しています。
上記を見てもらえば分かるように、しっかり定義どおりなROMは『CD-ROM』で、CD-RやCD-RWは書き込み可能なので、ROMではありません。音楽CDである『CD-DA』も読み取り(音楽を聞く)しかできないのでROMと言えます。
なお、CD-ROMはデータの正確性と検索性重視なCDで、CD-DAは音質を重視したCDになっています。なので、CDショップで私たちが購入しているCDは、『CD-DA』ということになります。
DVD-ROM
CDの流れからして当然のように、『DVD』にもさまざまな種類があり、
- DVD-ROM(読み取り専用DVD)
- DVD-R(書き込み可能DVD)
- DVD-R DL(書き込み可能DVD)
- DVD-RW(書き込み消去可能DVD)
- DVD+R(書き込み可能DVD)
- DVD+R DL(書き込み可能DVD)
- DVD+RW(書き込み消去可能DVD)
- DVD-RAM(書き込み消去可能DVD)
が存在しています。
CDの項で分かるように、『DVD-ROM』だけが読み取り専用なので、ROMと言えます。ちなみに、DVDにはデータ用とビデオ用の2種類が存在し、その違いはCPRMという著作権保護のコピー制御の有無(当然、ビデオ用のDVDにCPRM機能がある)です。
映画のDVDは、『DVD-Video』っていう規格で保存されてるんだよー!
BD-ROM
お察しのとおり、CD・DVDと同じで『Blu-ray Disc』にもさまざまな種類があり、
- BD-ROM(読み取り専用Blu-ray Disc)
- BD-R(書き込み可能Blu-ray Disc)
- BD-R XL(書き込み可能Blu-ray Disc)
- BD-RE(書き込み消去可能Blu-ray Disc)
- BD-RE XL(書き込み消去可能Blu-ray Disc)
が存在しています。
当然ですが、『BD-ROM』だけが読み取り専用なので、ROMと言えるわけです。
ちなみに、DVDではCPRMの有無で、データ用とビデオ用の区別がありましたが、Blu-ray Discにはありません。Blu-ray Discもデータ用とビデオ用と区別されて市販されていますが、実は中身は一緒だったりします。
光ディスクも種類が多いのであーる…。
ここも今後、まとめていく必要がありそうですね。
補足
HDD・SSD・eMMC ≠ ROM
ここまでの説明で分かるように、ROMは読み取りしかできないはず。なのに、書き込みも可能なHDDやSSDまでROM扱いされているのが現状です。
なので、ROMの定義どおりにいくならば、HDDもSSDもeMMCも…“ROMではない”ということになります。グルーピングとしては、補助記憶装置やストレージと言ったほうが正しいということです。
スマホやパソコンのスペック表にも「ROM」と記載されてますからね。
じゃあ、間違った表記がずーっと続いてる理由って何やろ?
完全に“便宜上”ってことだろうね〜。
厳密にいうと、SSDはROMの一種…という屁理屈は別として、結局のところ、HDDもSSDも「ROM」と表記したほうが収まりが良かったということです。なので、本質的には間違っているが、現実的には間違いではない…ということ。ユーザー側が脳内変換してうまく納得しろということかもしれません。
ROMと海外では記載しない
HDDやSSDがROMではないのに、ROMと記載されている話ついでに、海外でのROM表記事情を書いておきます。
実は、海外では前述したようなことはなく、HDDもSSDも「ROM」と書いたりは基本的にはしません。つまり、日本ならではの書き方だったということです。
海外でも補助記憶装置の表記
- Storage(ストレージ)
- Internal Storage(内部ストレージ)
- Built-in Storage(組込ストレージ)
- Flash Memory(フラッシュメモリー)
海外での補助記憶装置(HDDやSSD)の表記は上記のとおり。もちろん、Webサイトや雑誌によってブレはありますが、基本的にはこういう表記になっているはず。
ということは、日本でも「内部ストレージ」とか「ストレージ」と呼ぶのがよさそうですね。
ROMの定義どおりにいくなら、そう呼ぶのが適切だろうねー。まぁ、今さら戻れないって感じだとは思うけど…。
間違ってる呼び方が公式になってるってのも、気持ち悪い感じやんね。
まとめ「データを保存しているのがROMだ!」
まとめると、ROMの本来の意味としては“読み取り専用”の記憶装置ですが、日本では本来ROMではないHDDやSSDまで、ROM扱いされているということ。ただ、これを気にしてはいけない(厳密には気にするべき)ということでしょう。
データを永続的に保存しているのがROMですが、
HDD・SSD・eMMC ≠ ROM
CD-ROM・DVD-ROM・BD-ROM = ROM
と認識しておけばOKということです。
便宜的って便利な言葉だよねー。
この記事で紹介したガジェット
おまけ
非常にややこしいROM事情ですなー。
日本だけ…ですがね。
誰が最初にHDDとかSSDをROM扱いしたんやろうね?
うーん…それって戦犯探しっ!?
うん、そういうのはよしましょう。
おわり