コラム

新型Surfaceから見るOSとCPUの考察—MicrosoftとIntel・AMD・ARMとx86・x64

新型Surfaceから見るOSとCPUの考察—MicrosoftとIntel・AMD・ARMとx86・x64

記事のポイント

  • 新型SurfaceとCPUを振り返り!
  • AMDとARMが採用された理由を考察!
  • OSもCPUもユーザーに合わせた多様化の時代へ!

ハードウェアから読み取る真意。

今月初頭に行われた『Microsoft October 2019 Event』という、Surface関連の発表イベント。その発表された製品群から、MicrosoftのCPUやOSの“裏”を考察してみますぞ。

砂瀧えり

それって…どういうこと!?

まの

今回採用されたCPUは、Intel・AMD・ARM系の3つ……。

二条ねこ

そうっ!そこなんだよーー!

『Microsoft October 2019 Event』概要

#MicrosoftEvent Live - YouTube

今回の話のネタであるMicrosoftが10月2日(現地時間)に行った、『Microsoft October 2019 Event』というSurface関連の発表イベント。まずは、こちらについて簡単なおさらい。

発表されたデバイス

発表されたデバイス
  • Surface Laptop 3
  • Surface Pro 7
  • Surface ProX
  • Surface Neo
  • Surface Duo
  • Surface Earbuds

今回のMicrosoft October 2019 Eventで発表されたのは、上記の6つのSurfaceデバイス。

内訳としては、Windowsが4機種、Androidが1機種、完全ワイヤレスイヤホンが1機種という感じでした。おそらく、多くのユーザーは折りたたみデバイス(Neo・Duo)に目が行ったはず。はい、もちろん私もそのひとり。

二条ねこ

今回の議題的に『Surface Earbuds』は、話から外しておくから各自調べてねー!

各種Surfaceデバイスのスペック比較

  Surface Laptop 3 Surface Pro 7 Surface Pro X Surface Neo Surface Duo
OS Windows 10 Windows 10 Windows 10 Windows 10X Android
CPU Intel Core(13.5″)
AMD Ryzen(15″)
Intel Core Microsoft SQ1 Intel CPU(Lakefield) ?(ARM)
GPU Intel Iris Plus(13.5″)
AMD Radeon Vega(15″)
Intel UHD(i3)
Intel Iris Plus(i5・17)
Microsoft SQ1 Adreno ? ?

新型SurfaceシリーズのOSとCPU比較表。

発表されたSurfaceデバイスのOS・CPU・GPUは上表のとおり。

なお、Surface NeoとSurface Duoに関しては、本イベントでは詳細を明かしませんでした。ただ、NeoはIntel CPU確定で、DuoはAndroidということを考えるとARM系が搭載されるはずでしょう。

新型Surfaceから思う変化

そんな、Microsoft October 2019 Eventで発表された各種Surfaceシリーズについて、感じたことを書いておきます。

CPU:Wintel同盟の終焉

CPU:Wintel同盟の終焉

まず、すぐに思ったことが、いわゆる『Wintel同盟』というMicrosoftとIntelの蜜月関係が、もはや終焉を迎えているということ。

ハードウェアベンダーとしてのMicrosoft、つまりSurfaceシリーズというのは、慣例的にCPUにはIntel製のチップを使っている。2013年に発売された初代Surface Proから、ずっとフラグシップ系にはIntelというのが当たり前だった。(Windows RT系はNVIDIA製CPU)

新型SurfaceにはIntel以外のCPUが多い。新型SurfaceにはIntel以外のCPUが多い。

しかし、今回のMicrosoftの発表を見ると、おそらくMicrosoftが力を入れているであろうデバイスには、Intel“以外”が使われている。
Surface Laptop 15″はAMDのRyzenだし、Surface Pro XはMicrosoftとQualcommの共同開発のCPU(SoC)がそれぞれ採用されているという状況になっている。

IntelをMicrosoftが見限った…ということではなく、競合他社とも手を組むような姿勢になった。そう考えるのがよさそうな気がする。ただ、従来のようなWintel同盟については、終焉に向かったと考えるべきかもしれない。

二条ねこ

MicrosoftデバイスのCPUに、AMDが組み込まれる時代が来るとはだよねー。

OS:ベンダーとしての方向性転換

OS:ベンダーとしての方向性転換

そして、もうひとつ大きなトピックというと、SurfaceなのにWindows“でない”デバイスがあるということ。

SurfaceシリーズはMicrosoftの純正デバイスなので、当然Windowsが採用されていた。今回も、Windows 10・Windows 10Xがそれぞれ採用されている。しかし、それに加えて、Surface Duoには『Android』が採用された。これは大きな事件と言える気がする。

まさかのAndroid搭載Surface Duo。まさかのAndroid搭載Surface Duo。

Windows 10Xは置いておくとして、Surface Duoという小型デバイスにAndroidを採用したということは、Microsoft的にはモバイル市場を諦めていない(Windows 10 Mobileは失敗したが)という現れでもある。
さらに、自社のモバイル用OSを新たに開発するのではなく、すでにモバイル用OSとして最適化されているAndroidを採用した。Windows 10 Mobileの後継OSを開発するわけではなく、だ。

つまり、MicrosoftのSurfaceというハードウェアは、自社のWindows OSを囲い込むための撒き餌ではなくなった。そして、Microsoftがピュアなハードウェアベンダーとして、市場に参入しているということな気がする。

二条ねこ

Microsoftが本気の本気モードになったってことだと思うっ!

Microsoft Event 2019考察

MicrosoftとSurfaceについて“以外”にも面白いことがあった。なので、それらについてのMicrosoft October 2019 Event考察をしていきたい。

AMDのメジャーCPU化

AMDのメジャーCPU化

CPU関係で、いの一番に感じたのが、

  • Surface Laptop 3 13.5″:Intel CPU(Core)
  • Surface Laptop 3 15″:AMD CPU(Ryzen)

という、同じデバイスなのにインチ違いでCPUが違うということ。

おそらく、インチ数が大きいほうがフラグシップ的扱いなはず。つまり、『Surface Laptop 3 15″』が上位機種ということ。

それを考えると、AMDのRyzenがより上位のCPUとMicrosoftが判断したのではないか。そう、AMDのCPUがIntelと同じクラスのCPUとして認知されたという意味を持っていいる気がする。AMDがマニア向け…なんて、今は昔かもしれない。

二条ねこ

AMDがマイナーってわけじゃないけど、Intelの2番手なイメージがあった気がするからねー。それが対等になったって感じっ!

まの

AMDerの皆さんは嬉しいでしょうね。

Intel ≠ フラグシップCPU

Intel ≠ フラグシップCPU

先程の話の流れから分かるように、
Intel CPU > その他CPU
という構図はもはや崩れ去ったのかもしれない。

もちろん、各CPUともにMicrosoftが直々に採用するくらいのものなので、どれが上でどれが下ということを考えるのは野暮かもしれない。ただ、もはやIntel CPU一強時代ではないということ。

AMDのRyzen含め、SnapdragonをはじめとするARM陣営も、強力なライバルとして台頭してきているというのです。

CISCとRISCの関係性

CISCとRISCの関係性

そして、MicrosoftがRISC CPUを本気で開発・採用し始めたということ。これも半導体界隈では大きなトピックとなっているはず…たぶん。

今までは、

  • パソコン向けOS(Windows・macOS):CICS CPU
  • モバイル向けOS(iOS・iPadOS・Android):RISC CPU

という流れがあったと思う。

それがついに、パソコン向けのOSであるWindowsにも、Microsoft SQ1というARMベースのCPU(SoC)が採用された。つまり、CICSからRISCにシフトしてきているということな気がするわけ。

この背景には、LTEなどの通信やロングライフバッテリー重視、そしてARMベースのCPUがIntelに肉薄してきたということがありそう。ただ、完全にARMベースに移行するというよりかは、iPad的な立ち位置の2in1 PCはARM、ハイエンド的PCはIntel・AMDという棲み分けをしている気がする。

二条ねこ

現実的には、x64向けアプリをどうするか問題が出てきちゃうからねー。

まの

そうなると、クリエイター向けに出すSurface Pro XとAdobeの関係も気になってきますわね。

二条ねこ

発表イベントでAdobeのデモがあったくらいだし、Arm64のネイティブアプリ版を作ってくるのかもだねー。現実問題として、時間とリソースはかかりそうだけど…。

OSとCPUの勢力図が大きく動きそう

OSとCPUの勢力図が大きく動きそう

勝手に推測しているだけなので、当然だが真意は不明。ただ、今回のMicrosoft October 2019 Eventで思うのは、OSとCPUの勢力図が変わってきそうということ。

Appleが、iPadをiOSからフォークさせて『iPadOS』なるものを作ったように、MicrosoftもARM向けにWindows 10をチューニングしていく気がする。それがもしかすると、Windows 10XというフォークOSかもしれない。

要するに、タブレットがスマホやパソコンとは違った、新しいポジショニングを確立してきたということな気がする。今までのような、iOSと一緒、Windows 10と一緒、そんなモバイルOSやパソコンOSに引っ張られたものではなく、タブレットOSという独立したOSに各社フォークしていく予想を個人的に立てたい。

二条ねこ

当たってたら、何かちょーだいっ!

まの

それはないですね。せいぜい褒められる程度かと…。

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まとめ「OSとCPUの多様化時代への幕開け」

まとめ「OSとCPUの多様化時代への幕開け」

今年の『Microsoft October 2019 Event』は、大枠でのハードウェアの攻めた感じが注目されそう。でも、ソフトウェアやCPUのようなミニマムな世界でも、大きな変革期に立っている気がした。

Appleが同じことをしたら、Appleらしいで終わりそうだが、Microsoftがするなら話は別。きっと、2020年にはOSもCPUも、勢力図が大きく変わってきている…はず。

二条ねこ

Microsoftの内部方針が変わったってことかもだねー!

この記事で紹介したガジェット

おまけ

二条ねこ

こうやって妄想するのが、一番楽しかったりするんだよね〜♪

砂瀧えり

未来のガジェット感もあったし、なおさら期待しちゃうやんね!

まの

問題はSurface NeoとSurface Duoの価格ですわね。Galaxy Foldのような凶悪な価格設定にならなければよいのですが…。

二条ねこ

うむぅ…。

おわり