- 『グラフェン』とは炭素の集まりだった!
- 銀や銅を凌ぐ高伝導率性と耐久性がキモ!
- バッテリーだけでなく各所に応用されそう!
炭素は万能素材だった。
『グラフェン』という素材を用いた“次世代バッテリー”を、Samsungが開発完了したとの話がありました。なので、『グラフェン』とは何か、なぜ次世代バッテリーと呼ばれるのか、そんなお勉強。
以前、窒化ガリウム(GaN)と次世代充電器について調べたのですが、今度はグラフェン(C)と次世代バッテリーですわ。
おおー!
何だか学術的だ〜♪
化学式が『C』ってことは…炭素!?
Contents
次世代のバッテリーのキーワード『C』
スマホの普及や高性能化、EV(Electric Vehicle)の浸透…。もはや、現代社会の陰の立役者となっているのが、今回のテーマの『バッテリー』。つまり、充電池です。
充電池といっても、その種類は多種多様。ニカド電池・ニッケル電池、高校化学でおなじみの鉛蓄電池などある。ただ、スマホやEVで使われている充電池といえば、専ら『リチウムイオンバッテリー(Li+)』なはず。
リチウムイオンバッテリーは完璧ではなく、欠点もまだまだ多い。そんなリチウムイオンを超えた“次世代バッテリー”と呼ばれるのが、今回注目するグラフェンを用いた『グラフェンバッテリー(C)』というもの。
それをSamsungがほぼ開発完了していて、2021年ごろから同社のスマホに使われるのでは、との報道があったわけですわ。
グラフェン(C)について
グラフェンとは?
この『グラフェン』とは、炭素原子(C)が六角形構造に並んでいるシート状物質です。
2004年にイギリスのマンチェスター大学で発見され、2010年には同大学のAndre Geim氏・Konstantin Novoselov氏にノーベル物理学賞が送られています。このあたりからも、次世代な空気が漂ってきます。
グラフェンの化学式
グラフェンの化学式は『C』です。
要するに『共有結合結晶』であって、化合物ではないということ。グラフェンの仲間である同素体には、グラファイト(C)やカーボンナノチューブ(C)、フラーレン(C60)などがあります。
グラフェンの構造は、前述のとおり六角形構造なので、芳香族炭化水素(ベンゼン環)が蜂の巣状に並んでいるという感じ。非常にシンプルな構造で、化学的な構造として美しさを感じます。
芳香族化合物って、何だか癖になる匂いがしますよね。トルエン(C6H5CH3)とか、パラジクロロベンゼン(C6H4Cl2)は、まさに“芳香”という感じで…。
パラジクロロベンゼンって…『パラゾール』だよねー?
そうですわ。
好みが分かれる匂いですが、私は好きです。(意識的に嗅がないようにね)
グラフェンの特徴
そんなグラフェンは、
- 薄い
- 軽い
- 強い
- 柔軟
- 高伝導率
- 透明
という特徴があるそうです。
聞いてるだけで凄い感じが…うむむっ!?
3Mによるグラフェン活用イメージ動画。
グラフェンは1nmとかなり薄く、原子1個分に相当するそうです。にもかかわらず、結合が強くダイヤモンド並の強度だそう。平面内ではダイヤモンドより強いそうで、引っ張りに対する強度は世界一だとか。
そして、熱伝導率や電気伝導率が高いそう。電気伝導率は銀(Ag)より高く、熱伝導率は銅(Cu)より高いとのこと。
ちなみに、0℃状態での銀の電気伝導率は金属物質で1位で、銅の熱伝導率は403W/(m・K)とかなり高い水準です。このあたりの伝導性の良さが、きっとバッテリーに転用が利く…ということなのではと推測しています。
グラフェンの特徴だけ聞いたら、確かに次世代バッテリーに使われるイメージが湧いてくるよねー!
専門家ではないので言い切れない部分ばかりですが、研究者が目をつけているということは…きっとそういうことなのでしょう。
有機化学美術館で有名な佐藤氏の著書
グラフェンがバッテリーに応用される理由
グラフェンをバッテリーに応用した場合のメリットは以下のようなもの。
グラフェンバッテリーの特徴
- 発電と蓄電を同時に行える。
- バッテリー容量が大きくできる。(リチウムイオン比で45%多い)
- 充電時間が短い。(満充電まで30分)
見識のある人が調べればもっとあるのでしょうが、私が理解できた範囲だとこのような感じでした。このグラフェンバッテリーの特徴は研究段階込みなので、実際にこの状態で市場に出てくるかは、まだ何とも言えないはずです。
先程のグラフェンの特徴から察するに、おそらくバッテリー容量を大きくできるのは、グラフェンの表面積が広いからでしょう。充電時間が短いのは、高伝導率だからだと推測。グラフェン自体、高い強度を誇っているので、衝撃や破損に考慮しないといけないリチャージブルなバッテリーには、トータル的に適していたということだと思います。
現時点でもっとも使われている『リチウムイオンバッテリー』は、充電時間も長いですし、充電やバッテリー利用時の発熱も結構あります。また、充電池としての寿命もせいぜい500回程度のサイクルなので、リチウムイオンバッテリーがベストな充電池とは言えないでしょう。
グラフェンをバッテリーに応用すると、Samsungや大邱慶北科学技術院が発表しているとおりならば、このリチウムイオンバッテリーのデメリットをまとめて払拭できることになるはずです。だからこそ、この『グラフェンバッテリー』が“次世代”と呼ばれるのでしょう。
Samsungが言っているように、2021年に実用化されるとなると、かなり楽しみな存在だと思います。
話を聞いていると、スマホよりはEVに使われそうな感じやんね!
EVのバッテリー問題は多いようなので、Teslaあたりがグラフェンバッテリーを採用してきそうですね。
ちなみに、グラフェンの特性の活用としてはリチャージブルバッテリーだけでなく、バンドギャップを持たせて半導体(元のグラフェンは導体)に応用しようとする研究も名古屋大学で行われている。
少し先の未来に期待ですね。
4種の次世代バッテリーと呼ばれるもの
さて、グラフェンバッテリーの話は以上ですが、実は“次世代バッテリー”と呼ばれているのは、グラフェンだけではなかったりするようです。
次世代バッテリー
- グラフェンバッテリー
- ソディウムイオン
- ソリッドステートリチウムイオン
- リキッドフロー
グラフェンバッテリーは前述のとおりですが、“ポストリチウムイオン”の研究合戦が国内外で行われている模様。
ソリッドステートリチウムイオンは、リチウムイオンの派生バッテリーなので、次世代に一番近いとも言われているようですわ。
やっぱり、スマホじゃなくてEV用の研究って感じがしてくるねー。
リキッドフローを調べると、スマホのバッテリーのイメージはなくなりますね。
まとめ「夢のバッテリーが炭素から生まれるかも!?」
総括すると、現在主流のリチウムイオンバッテリー(Li+)は、充電時間・発熱・バッテリーサイクルに課題を抱えている。それをクリアするのが、次世代バッテリーと目されている『グラフェンバッテリー(C)』ということです。
このグラフェンは素人の私が見ても、その化学的な特徴から大きな可能性を感じる物質です。ひょっとすると、もうまもなく次世代バッテリーが搭載されたスマホが登場するかもしれません。
モバイルバッテリーを持たなくてよい時代が来るかもしれませんね。
この記事で紹介したガジェット
おまけ
窒化ガリウムにグラフェン…かがくのちからってすげー!
1週間バッテリーの持つスマホとか、JEITA Ver.2.0で50時間駆動バッテリーのノートパソコンが出てくるかもですね。
ほんと夢の時代やね!
そうですね。
スマホだけでなく、EVの普及にも一役買いそうですね。
おわり
Reference:国立研究開発法人 科学技術振興機構, 富士通研究所, 産総研TODAY, Sigma-Aldrich, 福山研究室 - 東京大学