- USBの充電規格を規格別に一覧表にした!
- W数・V数・A数もそれぞれ記載した!
- 一部規格には発動条件があるので注意!
入り乱れる充電規格。
USBの充電規格について一覧表を作りました。規格によって仕様や供給可能な電力がかなり異なっています。特に『USB PD』と『Quick Charge』の仕様はややこしいので、USBケーブルや充電器購入の際に本記事を活用してみてください。
USB Type-Cの登場で余計にややこしくなってんだよねー。
ひとつずつ見ていくしかなさそうですわね。
そうなんだよー。
だから、このUSB充電規格の一覧表を作ったのであーる!
Contents
USB充電規格一覧表
USB-IF系
- Default USB Power
- USB BC
- USB Type-C Current
- USB PD
メーカー独自系
- Quick Charge
- PowerIQ
USBを用いた充電規格というのは、
- USB-IF系(USB BCやUSB PDなど)
- メーカー独自系(QCやPowerIQなど)
の2つに大別されます。
これから1つずつ規格を見ていきますが、メーカー独自系の充電規格はデバイスや充電器に条件が存在していることに注意。購入の際は当該充電規格に対応しているかを確認してから購入するようにしましょう。
Default USB Power
名称 | 電力(W) | 電圧(V) | 電流(A) | 供給の方向 |
Default USB Power USB 2.0 | 最大2.5W | 5V | 0.5A | ホスト → デバイス |
Default USB Power USB 3.x | 最大4.5W | 5V | 0.9A | ホスト → デバイス |
Default USB Power充電規格一覧表。
この『Default USB Power』というのは、USBの標準的な充電規格になります。一般的には『USB標準電力』とも言われます。
USB 2.0からの出力は、最大2.5W。
USB 3.x系からの出力は、最大4.5W。
USB BC(USB BC Rev. 1.2)
名称 | 電力(W) | 電圧(V) | 電流(A) | 供給の方向 |
SDP | 最大4.5W | 5V | 0.9A | ホスト → デバイス |
CDP | 最大25W | 5V | 5A¹ | ホスト → デバイス |
DCP | 最大25W | 5V | 5A¹ | ホスト → デバイス |
USB BC Rev 1.2充電規格一覧表。
¹実際は5V供給は少なく、1.5A〜2Aで供給されることが多い。
この『USB BC(USB Battery Charging)』というのは、USB-IFが策定して急速充電規格のことです。現在では2010年策定の『USB BC Rev. 1.2』が一般的に利用されています。
USB BCにはベースの『SDP』という規格で、急速充電と通信に対応した『CDP』、急速充電に対応しているが通信には非対応の『DCP』があります。
USB Type-C Current
名称 | 電力(W) | 電圧(V) | 電流(A) | 供給の方向 |
USB Type-C Current@1.5A | 最大7.5W | 5V | 1.5A | ホスト → デバイス |
USB Type-C Current@3.0A | 最大15W | 5V | 3A | ホスト → デバイス |
USB Type-C Current充電規格一覧表。
この『USB Type-C Current』というのは、両端USB Type-C同士(ソースもシンクもUSB Type-C)の場合に利用可能な充電規格。
なので、両端USB Type-Cケーブルで充電した場合、とりあえずはUSB Type-C Currentの範囲内で充電できることになります。
USB PD(USB PD 2.0)
名称 | 電力(W) | 電圧(V) | 電流(A) | 供給の方向 |
USB PD | 最大100W | 5V 9V 15V 20V |
3A 5A |
双方向 |
USB PD充電規格一覧表。
この『USB PD』というのは、両端USB Type-C同士(ソースもシンクもUSB PD対応)の場合に利用可能な充電規格。
現在では『USB PD 2.0』が一般的に使われており、電圧と電流が可変で最大100Wまで電源供給が可能となっています。この100Wの電源供給が、現時点でのUSBから出力できる最大W数。また、5A出力をするためには、USBケーブル側が『eMarker』チップを内蔵している必要があります。
Quick Charge
名称 | 電力(W) | 電圧(V) | 電流(A) |
Quick Charge 1.0 | 最大10W | 5V | 2A |
Quick Charge 2.0 | 最大36W | 5V 9V 12V |
2A 3A |
Quick Charge 3.0 | 最大36W | 3.6V〜12V² | 2.6A(3A) 4.6A(5A) |
Quick Charge 4.0 | 最大100W | 3.3V〜20V | 2.6A(3A) 4.6A(5A) |
Quick Charge 4+ | 最大100W | 3.3V〜20V | 2.6A(3A) 4.6A(5A) |
Quick Charge充電規格一覧表。
²0.2V刻み。
この『Quick Charge』というのは、Qualcommが策定した急速充電規格のシリーズ名。
Quick Chargeを利用できる条件としては、
- Qualcomm SoC(Snapdragon)搭載スマホ
- Quick Charge対応充電器
の2つが揃っていないといけない。
電圧と電流の2つが可変なのがQuick Chargeの特徴。『Quick Charge 3.0』まではUSB PDと互換性がなかった(そのせいで揉めている)のですが、『Quick Charge 4』以降ではUSB PD互換となった。
USB-IF的には違反しているって言ってるけど、Qualcomm的には大丈夫っていう判断なんだよねー。
なんとも政治的な匂いがしますわね…。
Quick Charge 3.0対応
Quick Charge 4+対応
PowerIQ
名称 | 電力(W) | 電圧(V) | 電流(A) |
PowerIQ 1.0 | 最大12W | 5V | 2.4A |
PowerIQ 2.0 | 最大18W | 5V 9V 12V |
2A 2.4A 3A |
PowerIQ 3.0 | 最大100W | 5V 9V 15V 20V |
2.4A 3A 5A |
PowerIQ 3.0(Gen2) | 最大100W | 5V 9V 15V 20V |
3A 5A |
PowerIQ充電規格一覧表。
この『PowerIQ』とは、Ankerの開発した充電規格…というか、充電の技術です。充電技術なので、厳密にはPowerIQは充電規格ではありません。
2018年登場の『PowerIQ 2.0』では、Quick Charge 3.0互換となっています。最新の『PowerIQ 3.0』では、Quick Charge 3.0とUSB PDの両方に互換性を持っています。
Ankerがマーケティング上手な面があるので、PowerIQが凄いように見えてきますが、他社のUSB充電器にも同様のテクノロジーが搭載されていることが大半です。
Quick Charge 3.0とUSB PDって、USB-IF的に互換性を持たせていいのかなー!?
補足
スマホベンダーの急速充電規格
補足として、スマホベンダーが独自で提供している急速充電規格を、まとめて紹介しておきます。
Apple
Appleの急速充電規格
- Apple独自
- USB PD
Apple系のデバイス(iPhone・iPad)には、Apple独自の急速充電規格があります。
Apple独自の急速充電規格は、
- 最大5W(5V・1A)
- 最大10W(5V・2.1A)
- 最大12W(5V・2.4A)
という3種類があります。
iPhone 6以降の機種なら上記の3つの急速充電規格すべてに対応しています。
また、iPhone 8以降・iPad Pro(2018)以降の場合、USB PDにも対応しているので、さらにフレキシブルに充電器を選ぶことが可能になりました。
Huawei
Huaweiの急速充電規格
- HUAWEI FCP(Fast Charger Protocol)
- HUAWEI SCP(Smart Charge Protocol)
- HUAWEI QUICK CHARGE
- HUAWEI SuperCharge
Huaweiには『HUAWEI FCP』・『HUAWEI SCP』・『HUAWEI QUICK CHARGE』・『HUAWEI SuperCharge』という多くの独自急速充電規格が存在している。
FCPは“Huawei版QC”という感じで、9V・2Aの急速充電に対応。その上位版としてSCPがあります。
HUAWEI QUICK CHARGEは、電圧を9Vに昇圧する急速充電規格。HUAWEI SuperChargeは、最大40W(10V・4A)まで対応している急速充電規格になっています。
Huawei系の急速充電を使う場合には、純正の充電器を用意する必要がありそうですなー。
Samsung
Samsungの急速充電規格
- Samsung AFC(Adaptive Fast Charging)
Samsungには『Samsung AFC』という独自の充電規格が存在しています。
AFCは、Samsung独自でやっている急速充電規格というくらいしか情報が少なく、Samsung公式サイトを見ても大した情報がありません。
とりあえず、あればラッキーくらいの規格ですな〜。
OPPO
OPPOの急速充電規格
- VOOC(VOOC Flash Charge)
- SuperVOOC
OPPOには『VOOC』と、その上位互換である『SuperVOOC』が、独自の急速充電規格として存在している。
このVOOCは従来のUSB充電に比べて約4倍の速度で急速充電が可能。急速充電の方式としては、電圧を昇圧するのではなく電流を多く流すことによって実現しているそう。なので、Quick Chargeとは急速充電の方向性が異なります。
また、SuperVOOCでは最大50W(10V・5A)をサポート。これにより当該規格に対応したOPPOのスマホを約30分でフル充電できるようになっています。
VOOCを使うには、専用の充電器とUSBケーブルが必要っ!
備考
各充電規格の最大出力
最後に各USB充電規格の最大出力(W数)を棒グラフにしてみました。これで視覚的にも分かりやすいはず。
USB-IF系
Quick Charge
PowerIQ
まとめ「USBの充電規格はとーってもややこしい」
こんな感じで、各USBの充電規格を規格別に一覧表として作ってみたわけですが、とにかく最大W数もバラバラで非常にややこしい。
USB-IFが主導するように『USB PD』に統一されればよいのですが、そのUSB PDですらメーカーが追いつけていない状況。なので、当面は一覧表のようなややこしい状況が続きそうです。
充電器もUSBケーブルもデバイスをチェックしないとだよねー。
- 2019/09/28:一覧表作成
おまけ
本当にややこしいですわね…。
こんなに乱立させたら、ユーザーは混乱しっぱなしやんね。
だよねー。
たぶん覇権争いってこともあるし、USB PDに落ち着くまでにはまだ時間がかかりそうですなー。うむむ…。
おわり
Reference:
USB Charger - USB IF, PowerIQ - Anker, QUALCOMM QUICK CHARGE テクノロジーとは? - Belkin, ケータイ用語の基礎知識 - ケータイWatch