- x86版WinからARM版Winへの移行を真面目に考えた!
- メリットも多いがアプリの互換性が最大のネック!
- 今はまだ不完全で真価を発揮するのはまだ先かも!
まさに“過渡期”とはこのこと。
まもなく、Microsoftから『Surface Pro X』が発売されることもあり、着実に“ARM版Windows熱”が盛り上がりつつある。そこで改めて、ARM版Windows 10のメリットと問題点、そして誰に向けてのデバイスかを考えてみます。
ARM版Windows 10は…第2のWindows RTになるかっ!?
いやいや、それやと完全に失敗フラグやん……。
Windows RTの二の舞にならぬよう、メーカーだけでなく我々も理解をする必要があるわけですね。
Contents
ARM×Winデバイスが増殖中
Windowsからの派生OSというのは以前からあり、今回の『ARM版Windows 10』というのも、その一種と言ってもいいはず。
とはいえ、見た目的にはx86版Windows 10ライクで、今までの派生OSを“亜種”とするなら、ARM版Windows 10はある種“双子”のような存在とも言える。
派生OSには、
- Windows CE
- Windows RT
- Windows 10 Mobile
なーんて、ありましたな〜。
Windows CE…懐かしい。いろいろ遊んだ記憶がありますわ。
そんな、『ARM版Windows 10』を搭載したデバイス、つまりパソコンやタブレットが、実は少しずつ増殖をしていきている。
HP ENVY 12 x2
Yoga C630
そう、その立役者こそ、まもなく日本でも発売されるMicrosoftの『Surface Pro X』であることは間違いない。おそらく、Surface Pro XからARM版Windows 10という存在を知った人もいるはず。
すでにポツポツと、着実に、SoCにSnapdragonが搭載されたARM版Windows 10パソコンが増えつつ。そこにSurface Pro Xが登場すれば、注目度も爆発力も加速度的に増す…はず。
ということで、今のうちにARM版Windows 10が使えるのかを考えてみるのが本記事の趣旨だったりする。
確かに、Surface Pro Xを待っているユーザーも少なくはないでしょうからね。
でっしょー!
来る、ARM版Windows 10とSurface Pro Xに、今のうちから備えておこうってことであーるっ。
ARM版Windows 10の概要
ARM版Windows 10とは何かをひとことで表すならば、
機動力重視のモバイルパソコンOS
という感じでしょう。
…それだけでは雑すぎるので、ARM版Windows 10についてを少し掘り下げてみたいと思います。
すると見えてくる、アドバンテージとディスアドバンテージがっ!?
開発背景はバッテリー時間とセルラー回線
ARM版Windows 10の開発背景には、
- ロングライフバッテリー
- セルラー回線での常時接続
という2つのテーマがあり、それらを実現するにはARM(Snapdragon等)をSoCに採用する必要があったというわけです。
まとめて、『Always Connected PC』って呼ぶみたいだねー!
従来のx86版Windowsに使われているCISCアーキテクチャ(Intel・AMD)からなるCPUは、スペックこそ高いが、上記の2点の面では非常に弱い。
Windows 8/RT時代に『InstantGo』(旧称:Connected Standby)という、画面がオフ状態でも通信を行うというスマホライクな機能があった。この機能はARM・x86・x64のいずれでも動作したが、ベンダーが当該機能向けに設計しないといけない理由から、対応デバイスが増えず、認知度もあまりなかった(気がする)過去がある。
おそらく、そこのハードルを一気に下げ、実用的なデバイスに仕上げるのにARMを採用したのかもしれない。
もともとARMは低消費電力がウリだから、常時接続やロングライフバッテリーを考えるなら、普通に考えて採用したくなるよね〜。
実際、モバイル向けOSはARMがシェアを独占していますからね。
注意しないといけないデメリット
そんな、ロングライフバッテリー&セルラー通信が可能なARM版Windows 10ですが、かなーり注意しないといけないデメリットも存在します。
それこそ…アプリケーションの互換性問題だー!
IntelやAMDのCPUが使われている、従来のWindows 10(x86版)。そして、ARMのCPU(SoC)が使われている、Windows 10(ARM版)。これらには、命令セットアーキテクチャの差異から、アプリケーションの互換性がありません。
x86互換64bitアプリ | x86互換32bitアプリ | ARM版アプリ |
× | ○ | ○ |
ARM版Windows 10とアプリケーションの互換性。
ARM版Windows 10で動作するアプリケーションは上表のとおり。
ARM向けに作られたアプリケーションは当然動くとして、従来のWindows 10で64bit OSでしか動かないアプリケーションは、このARM版Windows 10では動きません。なお、32bit OS向けアプリケーションは、『Windows On ARM』というエミュレーションを行い動かします。
そこで問題になるのが、Adobeのようなクリエイティブ系ソフトウェアや、一部のPCゲームのような64bitでしか動かないアプリケーション群。
Adobeに関しては、Surface Pro Xでも使えるようにしたいそうなので、ARM版Adobe CCを出すかもしれませんが、PCゲームはそもそものスペック的にも対応は絶望的でしょう。つまり、ARM版Windows 10はそのCPU(SoC)の特性上から、“アプリケーションを選ぶ”OSであるというわけです。
そもそもですが、チップのパフォーマンス的にはIntelやAMDには、現状では敵わないですものね。
『A12X Bionic』とかいうARM界の化け物SoCもあるから、それも時間の問題だと思うけどね〜。
ARM版Windows 10の立ち位置
ARM版Windows 10をこうやって考えて分かることは、その立ち位置が従来のパソコンとタブレットの“隙間”ということ。
パソコンOSだと仰々しいし、そこまでしてする作業でもない。
モバイルOSだと貧弱で、それで作業しようと思わない。
そんな隙間産業的なOSこそ、ARM版Windows 10だと勝手に解釈しています。
イメージでいうと、iPadOSやGoogle Chrome OSよりもパソコンライクに使えるOSだけど、Windows 10やmacOSのようなフルOSではない…という感じでしょうか。もちろん、Microsoftの舵取り次第では、よりフルOSライクになるはずです。
今のところは、iOS(モバイル)からフォークしたiPadOSとは逆で、Windows 10(パソコン)からフォークしたARM版Windowsってイメージ…かなっ!?
Appleとは方向性が逆なのが面白いとこやね!
ARM版Windows 10は誰向け?
ここまでを一旦おさらいすると、
- 32bitアプリは動作可能
- 64bitアプリは動作不可
- パフォーマンスではIntelやAMDに劣る
- ロングライフバッテリー
- セルラー回線での常時接続(SIM対応なら)
という感じでしょう。
そう考えると、ARM版Windows 10は、現状ではオフィスワーカー向けのパソコンと考えるべきかもしれません。
まもなく日本発売のSurface Pro Xでは、高性能なデジタイザーペンがウリですが、Adobe系のアプリケーションがARMに完全対応していないことを考えると、現時点ではクリエイターがフルで活用できる日は遠そうです。
なので、将来的にはiPad Proのようなクリエイティブユースなハイエンドタブレットになるかもですが、今のところはWordやExcelを外で作業したいオフィスワーカー向けOSと考えるのが自然でしょう。
ARM版Windows 10は使えるのか?
そういうわけで、冒頭で話していた、
ARM版Windows 10は使えるのか?
という話に戻ります。
で、その結論は…!?
今のところは…人をすごーく選ぶ!
だけど、将来的には活用の幅アリって感じだねっ!
結局はWindows RTのときと同じで、どこまでアプリケーションがARM版Windows 10向けに作ってくれるかでしょう。もちろん、Windows RTのときよりも柔軟性に富むOSなので、あのときよりは期待できるはず。
ただし、64bitアプリケーションが溢れかえっている今、そのデベロッパーがどこまでARM版Windows 10を魅力に感じ、ARM版にも提供(コンパイル)してくれるかは未知数。Adobeは乗りかかった船的な感じなので、ARM版Adobe CCの開発に意欲的だそうですが、他社に関しては今後注目していく必要がありそうです。
わざわざ開発するメリット…次第だよね〜。
まとめ「ARMなWinは…ドラゴンボールの『セル』と同じ!?」
ARM版Windows 10は、x86版Windows 10からフォークしたようなOSで、まだまだその能力を発揮しきれない状況な気がします。なので、「使える?」と聞かれれば、現時点では「人による」と答えるしかなさそう。
…あ、これってドラゴンボールの『セル』って感じ。
現時点では、動作するアプリケーションに制約が多い“第1形態”な感じがしますが、Adobeやその他の強力なソフトウェアメーカーがARM向けにアプリケーションを出してくれれば、クリエイターも納得な“最終形態”になる…かもしれません。
フリーザ様は…macOSっ!?
この記事で紹介したガジェット
おまけ
で、ねこさんは『Surface Pro X』買うん?
ふっふっふ〜♪愚問ですぞ〜!
開発目的にも買うに決まってるではないかー!
果たして、本当に目的は“開発”なのでしょうかね…。(私には散財にしか思えませんが)
おわり